つまづきやすい電場と電位について、概念を理解できる色んなものをまとめました！

高校物理の基本を解説します。

以下のページから、動画一覧をご確認いただけます。
http://daigakunyuushikouryakunoheya.web.fc2.com/guide/koukoubutsurikaisetsukougi/butsuririkigakubunya.html

PHYSICS

高校物理の解説：電磁気学①講義４

## 電位

[電場](https://dic.okedou.app/words/p/wsEQGsBAifltN)とならび、電磁気に入ると一気に物理が難しく思う原因ランキング上位である**電位**について。

電位は、簡単に言ってしまえば、[重力による位置エネルギー](https://dic.okedou.app/words/p/xMatgrdBkRN1t)と同じように、要するに静電気力によって発生する**エネルギー**のこと。**公式と同じくらい、定義がとても大事**で、定義を押さえておくと、電磁気の他のいろんな場面で理解がしやすくなる。「あれ、どっちの電位が大きいんだっけ？」みたいなときにも、定義を理解していると瞬時にわかる。

ただ、定義を押さえるには、くぐり抜けないといけない関門がいくつかあって、まずは次の用語にピンと来ない方は、それぞれ辞書で確認してから電位を学ぼう。そっちの方が圧倒的に**電磁気マスター**への近道となる。

- [保存力](https://dic.okedou.app/words/p/3nZd89j62ShXP)
- [位置エネルギー](https://dic.okedou.app/words/p/2y4zb0529HzFp)

では、電位を定義すると、**電位とは、単位電荷あたりの、静電気力による位置エネルギーのこと**。つまり、$q \ [\mathrm{C}]$ の電荷が、ある点で静電気力による位置エネルギー $U \ [\mathrm{J}]$ をもっていたとすると、その点の電位は、

$$V=\frac{U}{q}$$

で定義される。単位は**ボルト $[\mathrm{V}]=[\mathrm{J}/\mathrm{C}]$** を用いる。

基本的には、**具体的な電位の公式**、つまり

- 点電荷 $q$ から距離 $r$ の位置の電位は

$$V=k\frac{q}{r}$$

- 一様電場 $E$ 内の距離 $d$ の電位差は

$$V=Ed$$

を使うことになるが、もし一から電位を求める際は、定義通り、静電気力による位置エネルギーを電荷で割るか、もしくは、**最初から単位電荷への静電気力を考えて、その位置エネルギー**を求めれば良い。（下の公式の導出を参照）

以下、

- 静電気力が[保存力](https://dic.okedou.app/words/p/3nZd89j62ShXP)である（つまり「静電気力による[位置エネルギー](https://dic.okedou.app/words/p/2y4zb0529HzFp)」を考えられる）理由
- 点電荷による電位の式の導出
- 一様電場中の電位差の導出

を解説するので、興味のある方は是非。

ちなみに、**動画で学んでイメージを持ちたい！** という方には、[受験メモ山本さんの動画](https://okedou.app/videos/67jXTeHinUQ)や、[みっきーさんの動画](https://okedou.app/videos/DPCWdWFkzDs)がオススメ。高度な知識を手に入れたい方は、[ひぐまさんの動画](https://okedou.app/videos/_h0HMi98X-s)を見てみよう。

## 静電気力は保存力

[クーロンの法則](https://dic.okedou.app/words/p/2Y4PG0r6gr8eQ)によって導かれる静電気力（クーロン力）は、実は重力や弾性力と同じ[保存力](https://dic.okedou.app/words/p/3nZd89j62ShXP)になる。つまり、**静電気力のする仕事は、仕事の経路によらない**。これを示すには詳しくは高度な数学が必要になるので、ここでは簡単な例として、一様電場中でサクッと確認しよう。（点電荷が作る電場中でも同様に保存力であることが示せる）

下の図のように、$q \ [\mathrm{C}]$ の電荷を右向きの一様電場 $E$ の中に置き、A地点からB地点に運ぶとする。このとき、次の2つの経路を考えて、静電気力がする仕事の量が等しいことを確認しよう。

経路①：A→P→B

経路②：A→B（斜めに直線移動）

![Untitled 1 P1 37.png](https://oke-files.s3.amazonaws.com/uploads/633cs4M5j79iS/737463fe5f7d450a8ef3cc654f7c4528.png)

静電気力の大きさは、[電場の定義](https://dic.okedou.app/words/p/wsEQGsBAifltN)より、右向きに

$$F=qE$$

となる。

まず経路①について、A→Pの間で静電気力がする仕事は、静電気力の向きと変位の向きが直角なので、静電気力がする仕事は $0$ である。

P→Bの間では、[仕事の定義](https://dic.okedou.app/words/p/pcwfVlu6fCFcx)より、静電気力がする仕事は、

$$qE\cdot x\cdot \cos 0^{\circ}=qEx$$ 

よって、経路①において静電気力がする仕事は

$$0+qEx=qEx$$

と求められる。

経路②について、A→Bの間で静電気力がする仕事は、[仕事の定義](https://dic.okedou.app/words/p/pcwfVlu6fCFcx)より

$$
\begin{align}
qE\cdot l\cdot \cos (90^{\circ}-\theta)&=qEl\sin \theta\\\\
&=qEx
\end{align} 
$$

と求められる。（[$90^{\circ}$関係の公式](https://dic.okedou.app/words/p/y7gwz9AuY0uWu)を用いた）

よって、経路①②で静電気力がする仕事の量は等しく、またこれら以外のどんな経路を考えても仕事の量は変わらないので、静電気力は保存力である。

大事なのは、**静電気力は保存力なので、静電気力による[位置エネルギー](https://dic.okedou.app/words/p/2y4zb0529HzFp)を考えることができる！** ということ。

以下、具体例を通じて電位の計算をやっていこう。

## 点電荷による電位の式

点電荷 $q$ の位置を原点とし、直線上で考える（平面の場合の補足は後で）。位置 $r$ の電位 $V$ を、電位の定義を用いて求める。

[位置エネルギー](https://dic.okedou.app/words/p/2y4zb0529HzFp)の基準点を $r_0$ とする。

位置 $x$ にある**単位電荷** $1 \ [\mathrm{C}]$ にはたらく静電気力は、点電荷 $q$ から遠ざかる向きを正として、[クーロンの法則](https://dic.okedou.app/words/p/2Y4PG0r6gr8eQ)より、

$$F=k\frac{q}{x^2}$$

となる。

![Untitled 1 P2.png](https://oke-files.s3.amazonaws.com/uploads/633cs4M5j79iS/87f05f2f706546aa83e7cc743cef2644.png)

よって、**電位**はその定義より、$F$ につり合う外力が、基準点 $r_0$ から位置 $r$ まで単位電荷を動かすときにする仕事（つまり単位電荷の[位置エネルギー](https://dic.okedou.app/words/p/2y4zb0529HzFp)）として求めることができ、

$$
\begin{align}
V&=\int_{r_0}^r-k\frac{q}{x^2}dx\\\\
&=\left[k\frac{q}{x}\right]_{r_0}^r\\\\
&=k\frac{q}{r}-k\frac{q}{r_0}
\end{align}
$$

となる。（積分公式は、数学Ⅲの[xのp乗の積分公式](https://dic.okedou.app/words/p/OZ31bTm15BMAe)を参照）

※力が位置によって変わるため、仕事は単なる掛け算ではもとまらず、積分の出番。詳しくは[仕事の辞書](https://dic.okedou.app/words/p/pcwfVlu6fCFcx)を参照。

点電荷による電位の式を考える際には、通常**基準点を無限遠にとる**ので、$r_0\to\infty$ として、

$$V=k\frac{q}{r}$$

と求められる。

なお、平面の場合には、静電気力が保存力であることを利用して、途中で弧を描くルートをうまく選んで考えると良い。弧を移動する間は仕事が $0$ になるので、結局直線上の仕事のみ考えれば良く、上の議論と同じようにして示すことができる。

![Untitled 1 P3.png](https://oke-files.s3.amazonaws.com/uploads/633cs4M5j79iS/12a796c3702348cdb1e89b3a4f640ad3.png)

## 一様電場中の電位差

強さと向きが一定の電場を**一様電場**という。強さ $E \ [\mathrm{N}/\mathrm{C}]$ の一様電場の中で、下図のように電場に沿って距離 $d$ だけ離れた点 $A$ と $B$ を考える。**$B$ を基準とした $A$ の電位**を求める。

![Untitled 1 P1 35.png](https://oke-files.s3.amazonaws.com/uploads/633cs4M5j79iS/854af5599d754882b79f4ecd67c2fbe7.png)

基準点をどこか適当に置くと、もちろん点 $A$ にも $B$ にも電位が存在することになるが、ここで興味があるのは、それらの電位の差、つまり**電位差**。

**基準点を点 $B$ におき**、そこから点 $A$ の電位を求めれば、それが自動的に電位差となる、というからくり。

一様電場中の**単位電荷** $1 \ [\mathrm{C}]$ にはたらく静電気力は、電場の向きを正として、[電場の定義](https://dic.okedou.app/words/p/wsEQGsBAifltN)より、

$$F=1\cdot E=E$$

となる。

**電位**はその定義より、$F$ につり合う外力が、基準点 $B$ から $A$ まで単位電荷を動かすときにする仕事（つまり単位電荷の[位置エネルギー](https://dic.okedou.app/words/p/2y4zb0529HzFp)）として求めることができ、

$$V=E\cdot d\cdot\cos 0^{\circ}=Ed$$

と求められる。

もし $2$ 点が電場に沿った方向に並んでいなくても、上の点電荷のときと同様、ルートを工夫して、電場と直角の移動を作り出せば良いので、全く同じ議論になる。このときに注意なのが、$V=Ed$ の $d$ は、**$2$ 点間を結んだ距離ではなくて、電場方向の距離を表す**。

![Untitled 1 P1 36.png](https://oke-files.s3.amazonaws.com/uploads/633cs4M5j79iS/f0921716bad8412fbed58b727103fc04.png)

### 補足

ベクトル量だった[電場](https://dic.okedou.app/words/p/wsEQGsBAifltN)とは異なり、電位はその定義から**スカラー量**なので注意しよう。つまり向きなどは存在しない。

では**電位の重ね合わせ**はどうなるだろうか？つまり、周りに $2$ つの点電荷があるときは、どういう電位になるのだろうか？

これは、電位の定義において外力の仕事を考えるときに、それぞれの点電荷による静電気力の外力に分解して考えることができ、仕事は足し合わせられるので、**それぞれによる電位を足し合わせれば良い**とわかる。

電位

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【高校物理】電場と電位とは

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ちょこっと物理004【電場の定義】（高校物理）

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直感的に理解する電界と電位：公式だけじゃない理解法《電磁気04》【高校物理】

【訂正】
15:04〜
積分区間はr_0→r_1ではなく、今回の図ではr_0→(r_0+r_1)が正しいです。

26:47あたりの
r_0:点電荷から基準点までの距離
r_1:点電荷から注目座標までの距離
という説明は正しいですが、今回の図とは対応していませんでした。
申し訳ありません。


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ちょこっと物理024【電位の定義】（高校物理）

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この映像授業では「【高校物理】　電磁気3　電場、電位」が約２１分で学べます。この授業のポイントは「電場（電界）とは1[C]の電荷が受ける静電気力（ベクトル量）、電位とは1[C]の電荷がもつ静電気力の位置エネルギー（スカラー量）」です。映像授業は、【スタート】⇒【今回のポイント】⇒【ココも大事！】⇒【練習】⇒【まとめ】の順に見てください。


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ちょこっと物理014【点電荷が作る電場】（高校物理）

高校物理の解説：電磁気学①講義２

【物理の授業を10分で】#40 点電荷・物体中の電場【電磁気】

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やさしい高校物理 電磁気 電場（場とは）

## 概要

物理の中でもよくわからん用語ランキング常連の**電場**について。

とてもイメージがしにくい概念で有名だが、定義を押さえて演習していくうちにつかめるようになるので、日本語でも理解してみながら、粘り強くやっていこう。

まず、[クーロンの法則](https://dic.okedou.app/words/p/2Y4PG0r6gr8eQ)で見た通り、離れた点電荷間には**静電気力**（クーロン力）がはたらく。離れているのに、この力はどうやって伝わるのだろうか？（マリアナ海溝よりも深い話になっていくので、詳しくは補足で）

これに対して、離れた電荷があったときに、「電荷は自分の周りの空間に「場」を作り出しており、それによって他方の電荷に力を及ぼす」と考えて出てきた概念が**電場**である。

$2$ つの電荷があったら、どちらも**自分の周りの空間に電場を作り出し**ていて、力を及ぼし合っている。そこにもう一つ電荷を加えると、また力を受けるし、加えた電荷がまた電場を作り出すので、元々の電荷にはたらく力も変わってくる。電場というのは、そういうクラス内の人間関係のようなもの。

数式を使った定義としては、ある点 $P$ に置かれている電荷 $q$ に力 $\overrightarrow{F}$ がはたらくとき、点 $P$ の電場 $\overrightarrow{E}$ を

$$\overrightarrow{E}=\frac{\overrightarrow{F}}{q}$$

と定義する。**電場を考える点に置かれた電荷で割る**ことに注意。分母を払った形である、

$$\overrightarrow{F}=q\overrightarrow{E}$$

もよく使う。重力 $F=mg$ と似ているので、覚えやすい。

大事なのが、**力はベクトル**なので、**電場はベクトル**だということ（電荷には正負しかない）。なので、成分に分けて計算することもできる。

![Untitled 1 P1 26.png](https://oke-files.s3.amazonaws.com/uploads/wsEQGsBAifltN/472e8f8e542845eda7d670622b8fe302.png)

**電場のイメージがやっぱりわかりにくい！** 動画でイメージしたい！という方は、[みっきーさんの動画](https://okedou.app/videos/voIMkGLr89w)や、[受験メモ山本さんの動画](https://okedou.app/videos/67jXTeHinUQ)がオススメ！

## 点電荷が作る電場

[クーロンの法則](https://dic.okedou.app/words/p/2Y4PG0r6gr8eQ)をながめてみよう。$Q \ [\mathrm{C}]$ の点電荷 $A$、$q \ [\mathrm{C}]$ の点電荷 $B$ の $2$ つの点電荷が距離 $r \ [m]$ 離れているときに、両者にはたらく静電気力 $F \ [\mathrm{N}]$ は、

$$F=k\frac{Qq}{r^2}$$

で表される。ここで点電荷 $B$ に注目して、この力を **「点電荷 $A$ が周りに作り出した電場によって、距離 $r$ のところにある点電荷 $B$ が受けた力」** と考えてみよう。すると、電場の定義から、

$$E=\frac{F}{q}=k\frac{Q}{r^2}$$

と求めることができ、これが、点電荷 $A$ が距離 $r$ のところに作る電場である。（電場を考える点に置かれている $q$ の電荷で割る。**電場を作り出している $Q$ で割らない**ように注意！）

このように電場においては、**何がどこに作り出す電場**なのか、そしてそれは**どうやって求めるか**、が大事になる。

もちろん、点電荷 $A$ に注目して、「点電荷 $B$ が周りに作り出した電場によって、距離 $r$ のところにある点電荷 $A$ が受けた力」と考えることもできるので、それで点電荷 $B$ が距離 $r$ のところに作る電場を求めてみよう。

## 重ね合わせ

電場の重ね合わせ、という言葉があるが、これはつまり**電場はベクトルなので、ベクトルの足し算などができる**よ、というだけのお話。

![Untitled 1 P1 27.png](https://oke-files.s3.amazonaws.com/uploads/wsEQGsBAifltN/14fd3b1a27e14e45af69e1cc4907d388.png)

### 補足

少しマニアックな話になってしまうが、静電気力がどうやってはたらいているかについての議論には、歴史がある。

まず、ニュートンが万有引力を発見した時代には、離れた物体の間に直接力が作用するのは、まあそういうものだ、頑張ってはたらくんだろう、として受け入れられていた（この考え方を**遠隔作用**という）。

しかし、クーロンが静電気力を発見した際に、この力がどうやってはたらくのかを考えていたファラデーという学者が、「帯電体の周りの空間はゆがんでいて、そのゆがみが場という形で伝わり、他の帯電体に力を及ぼす」と考えて、静電気力を理解しようとした（この考え方を**近接作用**という、つまり上で学んだ**電場**の考え方）。

さて、静電気力は遠隔作用の力なのか、近接作用の力なのか、議論が起こるわけだが、1888年、ヘルツによって空間を伝播する**電磁波**が発見されたことにより、近接作用に軍配が上がり、決着がついた。

ちなみにその後、万有引力も近接作用の力なんじゃね？という議論が起こり、天才アインシュタインが一般相対性理論を提唱し、万有引力も近接作用であるという認識で決着した。

【高校物理】電場と電位とは

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電場と電位のイメージが理解できるもの #1

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